アメリカ遊学記その21

(前回からの続き)

せっかく英会話ができるようになったので英語ができる職場で働きたいと思って貿易関係の会社に入社した。

応募資格が「日常英会話ができる」と言うのが条件だった。

 

ブローカー的会社

会社に応募したのは単純な話し、折角身につけた英語を使わない手はない、と思ったからだ。

面接に行ってすぐに採用となった。

おそらく応募もしれほどなかったのだと推測する。

ただ、恐れていたことが電話だった。

海外から電話が掛かってくるのを受けなければならない。

当たり前のことだが、これが意外ときつい。

最初は署先輩方の真似をして覚えることにした。

と言っても「Hello!」から始まるのはアメリカも日本も変わらない。

当たり前だ。

Helloの後、相手が何を言うかで方向性は決まる。

つまり相手が何を望んでいるかを聞き出さなければならない。

当たり前だ。

これがやっと喋れるようになったばかりの者にとってはハードルが高い。

この諸先輩の中にはイギリス帰りの帰国子女がいる。

この人は完全なバイリンガル。

日本語で会話をしていても英語が聞こえるとそれに反応できる。

つまり日本語で会話していても英語で悪口を言えばすぐに反応できる人である。

綺麗なイギリスの発音で話すが、もちろんアメリカのアクセントも普通に理解できる。

こう言う人には敵わない。

ま、敵対する訳ではなく教えを乞うのだから罵る訳ではなく素直に真似するだけ。

そうこうしながら電話の取り方などを学んでいく。

これがつまりビジネス英会話の始まりである。

日常英会話ができれば、と入った会社ではあるがビジネス的な電話の掛け方、受け方は必要。

ビジネス英会話の参考にするなら次の動画をご覧ください。

 

時間を持て余す

この会社は非常に良い会社で給料は良いしボーナスも途中入社でも出してくれた。

ただ、この会社には1年も在籍しなかった。

やることが無さ過ぎるからである。

どう言うことかというと、1週間のうちに2〜3回シッピングの書類を作成して船会社と運搬する物を製造するメーカーに確認をとればそれでほぼ仕事が終わる。

英語のタイピングが出来て、メーカーと船会社の間を取り持って、たまに掛かってくる英語の電話を受けるだけ。

こんなに効率の良いビジネスはないと思えるくらいのものだ。

効率が良すぎて社員の仕事がほぼない状態。

そんな状態が半年も続くと嫌気が差してくる。

何もせずに1日デスクの前にいるのはある意味獄門である。

時間の経過がこれほど長いとは思わなかったほどである。

結構時間が経ったな、と思って時計を見上げると15分しか経っていない時の朝の9時45分は地獄の始まりでしかない。

仕事をしなくても良いと上司からも言われているので、余計に辛い。

仕事をしなくても良いのだが、家に帰ることはできない。

会社にいなければならない。

そんなことが積み重なってやっぱり辞めることにした。

何故ならこれでは人間ダメになってしまうと思ったからだ。

何もしなくても良い給料が貰えるのはとても有難いし、友達にもこれ以上の所はないと思いとどまるように言われた。

しかし考えれば考えるほど何もできない無能な人間になってしまうと思った。

実はこの時の英語能力が人生でピークだった。

FEN(アメリカ軍極東放送)から流れてくる英語が非常にゆっくり聞こえたからだ。

この後英語の能力は徐々に落ちてくる。

日々自分自身でも分からないくらい微量に語学力は下がっていくことにこの頃は気づいていない。

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